Q11.手信号を出したいのですけど、ブレーキも握れずハンドル操作も危ないです・・・

この設問は、手信号による合図を行う義務と、安全運転の義務とが対立することとなる場合に、どちらを優先すべきかの問題になります。
道路交通法の目的と、法学の基礎的事項から、安全運転の義務が優先されるのは明らかですので、バランスを崩すおそれがあるなど安全運転義務に反することとなる場合には、手信号による合図を行わなかったり、途中で止めたりしても、問題ありません。

手信号による合図の義務と安全運転義務について

手信号による合図の義務

自転車の運転中に、進路変更や右左折、停止などを行う際は、手信号による合図を行わなければなりません。
また、その手信号は、次のとおり継続して示し続けなければなりません。

  • 右左折

    右左折を行う30m手前から右左折を完了するまでの間。

  • 進路変更

    進路変更を行う3秒前から進路変更を完了するまでの間

  • 停止

    停止開始時から停止を完了するまでの間

安全運転の義務

自転車を含め車両を運転するに際しては、ハンドルやブレーキの操作を確実に行えるように運転しなければならず、またこれらの操作に支障を生じるようなことを行ってはなりません。
手信号による合図を行うと、片手運転となってしまうため、自転車の場合、状況によってはハンドル操作やブレーキ操作に支障を生じることとなります。
そのため、手信号による合図を行えば、安全運転義務に違反することとなる場合も考えられます。

義務の優先関係

道路交通法の第一の目的は『道路における危険の防止』であるため、また法学の基礎的事項に照らしても、合図の義務と安全運転義務とが対立することとなる場合には、明らかに安全運転義務が優先されることとなります。
そのため、手信号による合図を示すことによりバランスを崩す恐れがある場合には、手信号を行わなかったり、手信号を法の規定通りに継続して示し続けなくとも、問題ありません。

片手運転と安全運転義務の関係

自転車で片手運転を行えば直ちに安全運転義務違反となるとお考えの方も多くいらっしゃるようです。
確かに、自転車で片手運転を行えば、自転車の『確実な』ハンドル・ブレーキ操作ができないこととなります。
しかし、安全運転義務は、「通常の走行」に支障を生じるような運転を禁じるものであり、それ以上の確実性を要求するものではありませんので、片手運転をしたからといって必ず安全運転義務違反となるわけではありません。
手信号についても、通常の走行の範囲内でハンドル・ブレーキの操作ができるのであれば、行っても問題ありません。
同様に、ボトルを手に持って飲み物を飲む行為も、通常の走行に支障を生じなければ、やはり問題ありません。

関連条文

道路交通法

(目的)

第1条 この法律は、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資することを目的とする。

(合図)

第53条 車両(自転車以外の軽車両を除く。第3項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。

2 前項の合図を行なう時期及び合図の方法について必要な事項は、政令で定める。

(安全運転の義務)

第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

道路交通法施行令

(合図の時期及び方法)

第21条 法第53条第1項に規定する合図を行なう時期及び合図の方法は、次の表に掲げるとおりとする。

合図を行なう場合 合図を行なう時期 合図の方法
左折するとき。 その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 左腕を車体の左側の外に出して水平にのばし、若しくは右腕を車体の右側の外に出してひじを垂直に上にまげること、又は左側の方向指示器を操作すること。
同一方向に進行しながら進路を左方に変えるとき。 その行為をしようとする時の三秒前のとき。
右折し、又は転回するとき。 その行為をしようとする地点(交差点において右折する場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から三十メートル手前の地点に達したとき。 右腕を車体の右側の外に出して水平にのばし、若しくは左腕を車体の左側の外に出してひじを垂直に上にまげること、又は右側の方向指示器を操作すること。
同一方向に進行しながら進路を右方に変えるとき。 その行為をしようとする時の三秒前のとき。
徐行し、又は停止するとき。 その行為をしようとするとき。 腕を車体の外に出して斜め下にのばすこと、又は車両の保安基準に関する規定若しくはトロリーバスの保安基準に関する規定により設けられる制動灯をつけること。